日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1,4-および1,2-ジクロロシクロヘキサンの塩化アンチモン(V)による異性
秋山 文紀寺島 清隆松田 実
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 1977 巻 1 号 p. 61-65

詳細
抄録

4種のジクロロシクロヘキサン,すなわち,かtrans-1,2-体,cis-1,2-体,trans-体,およびcis-1,4-体を塩化アンチモソ(V)と反応させたところ,cis-1,2-体では原料は消失するが,異性体は生成せず,他の3種の異性体では異性化が起こることを見いだした。このさいの異性化率は1,4-ジグロロ体の反応の方がtrans-1,2-体の反応より高いことがわかった。異性化で得られる異性体のうち1,3-ジクロロ体と1,4-ジクロロ体の合計中のcis-1,3-体,cis-1,3-体,cis-1,4-体,およびcis-1,4-体の分率は出発物質や反応時間に依存しないが,反応温度および溶媒には依存することがわかった。異性化の機構としてはクロロニウムイナン中間体を経る機構よりカルボニウムイオソを経る機構の方が妥当と考えだ,以上の異性化の結果をシクロヘキセンの塩化アソチモン(V)による塩素化で副生する1,3-および1,4-ジクロロ体の分布と比較した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top