日本化学会誌(化学と工業化学)
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塩素共存下における塩化ビニルの光酸化分解及応
鍵谷 勤武本 勝雄
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1977 年 1977 巻 1 号 p. 54-60

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抄録

塩素共存下の塩化ビニルの紫外線酸化分解反応を,高圧水銀灯(100W)を用いて,室温で行なった。低濃度の塩素共存下における塩化ビニルの光酸化反応においては,中間体としてクロロアセトアルデヒド,ホルムアルデヒドおよび塩化ホルミルが生成した。高濃度の塩素共存下では,生成気体中にクロロアセトアルデヒド,クロロアセチルクロリドおよび1,1,2-トリク質質エタン(TCE)の生成が認めら。れた。これらの中間体は長時間の照射によって消滅した。塩化ビニルの光酸化分解速度は塩化ビニルに対する塩素のモル比(Cl2/VC)の増大とともに大きくなり,Cl2/VC<2のときの塩化ビニルの光酸化分解速度がCl2TCE<1のときのTCEの光酸化分解速度よりも小さく,C2VCgt;>2rのときにはCl2/TCEgt;>1のときのTCEの光酸化分解速度とほとんど等しくなった。塩化ビニルの変換率に対する塩素の変換率の比は1より大きく,塩化ビニルの変換率が大きくなるにつれてこの比は小さくなった。一方,暗所で塩化ビニルおよびTCEに二酸化塩素を添加しても両者ともまったく分解しなかったが,これに紫外線を照射すると両者ともいちじるしく分解した。また,微量の塩素による塩化ビニルの光酸化分解反応はオゾンを添加することによって一層促進された。これらの結果に基づいて,塩化ビニルの光酸化分解反応における塩素の役割について考察した。

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