日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
Claisen転位反応におよぼず置換基の影響
林 隆俊五島 正信
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1977 年 1977 巻 10 号 p. 1512-1517

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抄録

アリルフェニルーテル類のClaisen転位反応を行ない,オルト位の醜効果が転位反応率におよぼす影響をパラ位のそれと比較した。その結果,パラ置換化合物の転位反応率の大きさの順位は,
となり,電子求引能力の大きい置換基をもつ化合物ほど低い反応率を示した。しかし,オルト置換化合物の楊合には,その順位が,
となり,転位反応率におよぼす置換基の影響は,パラ置換化合物といちじるしく異なることを見いだした。UVスペクトル,NMRスペクトルや,双極子モーメントの測定値などによる検討の結果,オルト置換化合物の転位反応率の大きさは,エーテル酸素と置換基の間に生じると思われる分子内双極子相互反発の大きさによっておもに支配されていると判断された。

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