日本化学会誌(化学と工業化学)
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ガロシアニンの過酸化水素酸化反応における触媒作用を利用した超微量コバルトの吸光光度定量
平山 和雄宇野原 信行
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1978 年 1978 巻 11 号 p. 1498-1502

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抄録

ガロシアニン(GAL)の過酸化水素酸化反応におけるコバルトの触媒作用を利用して吸光光度法により0.2ng/ml程度までの超微量コバルトを定量できる方法を確立した。
ホウ酸系緩衝液によりアルカリ性にした溶液中,GALは過酸化水素によりきわめてゆるやかに酸化されるが,極微量のコバルト(II)が存在すると,GALは接触的に酸化され退色する。GALの退色速度はコバルト濃度に依存することから,定時間法により5-30分後に退色量として波長520nmにおける試薬ブランクとの吸光度差(ΔE)を求めると,OEとコバルト濃度には良好な直線関係が得られた。また30~240μ9のマグネシウム(III)を共存させると,反応が安定するとともに増感作用のあることが認められた。1.6×10-3mol1JGAL,2,4×101molμHp2,pH9.4,60μgMg(II),温度25°c,反応時間10分の測定条件では0,2~2.4ng/mlのコバルトとΔEの問にBeerの法則が成立し,この場合の見かけのモル吸光係数は1.6×107,感度(4E=0.001)は3。7P9!m1であった。300倍量の鉄(III),2000倍量のクロム(III)は反応を阻害して負の誤差を与えた。100倍量のニッケル(豆)は妨害しなかった。再現性は良好であり1.2ng/mlのコパルトを変動係数4.6%で定量できた。
本法を湖沼水中のコバルトの定量に応用したところ良好な結果が得られた。

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