日本化学会誌(化学と工業化学)
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含水酸化チタン(IV)の諸性質におよぼす調製時の母液のpHの影響
牧 俊夫
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 945-955

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抄録

硫酸チタン(IV)水溶液に室温で液の最終pHが3.0,4.5,6.0および8.0になるまでアンモニア水を加えて含水酸化チタン(IV)を調製した。これらの試料について化学繊の決定,結晶化度,比表面積および弱アルカリ溶液中の微量のウランに対する吸着能の測定などを行なった。x線回折法により認められた結晶はすべてアナタースであり,その結晶化度はpH増大とともに直線的に低下した。比表面積はpH増大とともに増大したが,吸着能はpH4.5~6.0で最大となり,それよりpHが大きくなるとかえって低下した。また硫酸チタン(IV)溶液の濃度の大小はpHに対する試料のH2O/TiO2比の変化にかなり影響をおよぼすことがわかった。しかし濃厚,希薄溶液のいずれの場合もH2O/TiO2比の最大になるpH値と吸着能の最大になるpH値とが一致した。以上の結果を硫酸チタン(IV)の加水分解機構,含水酸化チタン(IV)ポリマーの生長と集合のモデルおよび乾燥後の試料の構造式を用いて説明した。

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