クロム片のリン化反応を反応温度800~1000℃,リン蒸気圧10~760Torrのもとで行なった。
生成層をX線回折およびX線マイクロアナライザによって調べた結果,(P4およびP2蒸気)/CrP/Cr2P/(Cr)なる層構造をとることが明らかとなった。反応はいずれも放物線速度則にしたがったので,律速段階は拡散過程であるものとみなされる。マーカ実験法で拡散種を調べたところ,クロムであることが判明した。リン蒸気圧1atmにおける放物線速度定数Kpは絶対温度Tの関数として次式で表わされた。
Kp=0. 14 exp(-35 x 103/RT),g2・cm-4・min-1,(800~1000℃)
しかしながら,Kpの圧力依存性は明確には認められなかった。
リン化物層中のクロムの濃度曲線からクロムの律速格子拡散の場所はCrP-Cr2P間であり,また拡散係数はその場所(あるいは濃度)で異なるということが明らかとなった。
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