日本化学会誌(化学と工業化学)
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酸素加圧下でのアンモニア性炭酸アンモニウム水溶液による金属ニッケルの浸出
溝口 忠昭中村 順二石井 一
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 961-966

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抄録

アンモニア性炭酸アンモニウム水溶液による金属ニッケルの酸素加圧浸出におよぼす諸因子の影響について研究した。金属ニッケルがアンミン錯イオンとなって溶解するためには酸素以外にアンモニウムイオンが不可欠であり,アンモニウムイオン量がニッケルの溶解量を決定することがわかった。ニッケル量が6g/200=ml以下(領域A)ではニッケルの粒子表面に隣接する液境膜内を酸素が拡散する過程が律速であるのに対し,ニッケル量が6g/200ml以上(領域B)では溶液中へ酸素が溶解する過程が律速になるものと推定された。領域Aにおける溶解初速度は外形変化型の球状モデルでよく説明され,見かけの活性化エネルギーとして拡散律速を示す値1.5kcal/mol(30~110℃)が得られた。酸素分圧およびかきまぜ速度は溶解速度をいちじるしく増大させ,これらの結果も本溶解反応の律速過程が酸素の拡散にあることを示した。
石炭の水蒸気ガス化灰中のニッケルは金属状態で存在する場合には,本加圧浸出法によって容易に浸出されたが,酸化物態ニッケルの浸出は不可能であった。

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