日本化学会誌(化学と工業化学)
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ベンゼン抽出-原子吸光分析法による大気粉じん中のアンチモンの定量
山重 隆重富 康正
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1978 年 1978 巻 7 号 p. 972-975

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抄録

大気粉じん中のアソチモンの定量法を確立した.すなわち,一定量の粉じん試料を過酸化水素含有の硫酸で分解抽出し,抽出液中の過酸化水素を加熱分解後,アンチモンをヨウ化物として硫酸溶液中からベンゼン層に抽出し,これをEDTA溶液で逆抽出する。水層中のEDTAを硫酸-過酸化水素で分解後6N塩酸溶液とし,この中に亜鉛末錠剤を加えてスチビンを発生させ,加熱石英セルへ圧送し原子化させ定量する。セル温度は950℃,スチビンの導入速度は2.5l/minがもっとも高感度であった。
抽出液に直接亜鉛末錠剤を加える方法とヨウ化物抽出分離を併用する方法とで共存元素による影響を調べた。その結果,直接法ではFe,Cu,Ni,Co,Cr,Seが強く妨害を示すが,ヨウ化物抽出分離を併用するとこれらの元素による妨害は完全に除けた。
本法の感度は1%吸収で4ng/25mlであり水素炎を用いる方法より数倍高感度であった。また10回くり返しによる誤差は1.1%以下と非常に小さかった。

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