抄録
底質を硝酸,塩酸分解し,酸分解液中の亜鉛,カドミウム,鉛,銅およびビスマスを定量するために,おもにク形波アノーディック,ストリヅピング,ボルタンメトリー(ASV)で,0部については微分パルスASVで検討した。両者とも作用電極はつり下げ水銀滴電極を用いた。
酸分解液中の目的元素は,酸分解液をヒドロキシルアミン塩酸塩で還元処理することにより多量に共存する鉄(III)イオンの妨害もなく,ASVでそれぞれ良好な溶出曲線を示したdピーク電位は亜鉛-〇.93V,ヵドミウムー0.57V,鉛-36V,銅-.11V(対SCE)であった。標準添加法を用いることにより,直線性のよい検量線が得られ,4元素が同時定量できた。また原子吸光法の分析値と比較したところ,カドミウムは原子吸光法にくらべやや低目であったが,他の3元素はよく-致した。底質中にビスマスが含まれているときは,本法を用いることによりビスマスは銅より正電位に良好なピークを示し,標準添加法を用いて定量できた。ビス`7スのピーク電位は0.O2-V(対SCE)であった。