日本化学会誌(化学と工業化学)
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高活性酸化ニッケル触媒上てのオレフィンの水素化および異性化反応
塚田 清秋鹿 研一尾崎 萃
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1979 年 1979 巻 6 号 p. 703-710

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抄録

本報では,調製法の異なる4種の酸化ニヅケル上に形成されるオレフィンの水素化および異性化の活性点を,反応停止に要するCO量から求めた活性点あたりの比活性で比較し,活性点の分類とその妥当性について検討した。
焼成法Nio触媒上の水素化,異性化活性点(SIII)をi基準にすると,両反応に対し102倍高活性な活性点(SII)と水素化に対し103倍高活性な活性点(SI)の三つに分類される。SIIは塩基性炭酸ニッケルや尿素を沈殿剤として得られる水酸化ニッケルを真空分解したときに形成される活性点であり,CO2の脱離にともない生ずる低原子価ニッケルであると考えられる。S1は尿素法調製試料を真空分解した場合に形成され,Ni0の部分還元により生ずる特定の構造をもったNiOであると考えられる。一方,アンモニア水による沈殿で調製した水酸化ニッケルを真空分解しても,SIIIに相当する活性点しか生成しない。尿素法調製触媒は特異的に高活性である。
このように,従来水素化や異性化反応においてそれほど活性を示さなかったNio触媒も,触媒の調製法や活性化処理条件の選択によりきわめて高活性な触媒となり得ることが明らかとなった。

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