日本化学会誌(化学と工業化学)
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トリオクチルアミンおよびトリカプリルメチルアンモニウム=クロリドにより塩酸およびチオシアン酸溶液から抽出されるバナジウム(IV)のクロロおよびチオシアナト錯体
中村 高遠佐藤 太一
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1979 年 1979 巻 6 号 p. 716-721

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抄録

トリオクチルアミン(R3N)およびトリカプリルメチルアソモニウム=ク質リド(R3R/NCl)のベンゼン溶液により塩酸溶液およびチオシアン酸溶液からのバナジウム(y)の抽出を行ない,有機相を真空乾燥して生成錯体を単離した。塩酸溶液からの抽出で生成した暗緑色の錯体はR3NHVO(OH)Cl2およびR3R,NVO(OH)Cl2の組成を示すが,磁化率および分子量の測定結果から二量体であることがわかった。そして電子スペクトルおよびESRスペクトルから,これら錯体の面内σ(dx2-y2軌道と,それと同じ対称性を有する配位子群軌道から生ずる)および面外π(dxxyz軌道と,それと同じ対称性を有する配位子群動道から生ずる)結合はともにかなりの共有性をもち,立体構造はたがいに類似していることが明らかとなった。一方,チオシアン酸溶液からの抽出により生成した褐色の錯体(R3R/N)2[VO(NCS)4]H2Oはチオシアン酸イオンが窒素原子でバナジウムイオンに配位した5配位のイソチオシアナト錯体であることが知られた。

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