日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリ性含水酸化マンガン(IV)懸濁液の電解酸化
成田 栄一後藤 順一今井 力岡部 泰二郎
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1980 年 1980 巻 12 号 p. 1830-1835

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抄録

含水酸化マソガソ(IV)(含水MnO2)を水酸化カリウム溶液に懸濁させ,これに酸化開始剤として少量の過マンガン酸カリウムを添加した系の無隔膜電解酸化について,ニッケル陽極を用い, 3.2Aldm2の定電流で検討を行なった。その結果,アルカリ性溶液から生成した多量のアルカリと結合水を含有するMnO2は反応性が良好であり,マンガン(VI)酸を経て過マンガソ酸まで酸化された。電解槽内ではつぎの二つの反応,すなわち化学的酸化と電解酸化が同時に起こっているものと考えられた。
MnO2+2MnO4-+4OH=3MnO42-+2H2O〓MnO4-=MnO4-+e
電流効率はMnO2の含量,遊離KOH濃度および温度の増加とともに高くなることがわかった。これは化学的酸化が律速反応であることに起因している。しかしながら,遊離KOH濃度が5mol/l以上に高くなると,過マンガン酸からマンガソ(VI)酸への分解が顕著に認められた。
良好な電流効率が得られる条件として,MnO2含量0.65mol/l,遊離KOH濃度4.2mol/l,温度800℃が得られた。また共存物質の影響も調べた。

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