日本化学会誌(化学と工業化学)
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石炭の加熱によるガスの発生速度
中村 尊原田 哲也和井内 徹
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1980 年 1980 巻 12 号 p. 1870-1874

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抄録

夕張新第二炭を用いて100~283℃の比較的低温度,真空下で定温加熱を行ない,発生したガスのうち水素,メタン,一酸化炭素について,その速度を測定した。さらに,石炭の粒径がそれらのガスの発生速度におよぼす影響,および夕張新第二炭のピリジソ抽出物を加熱したときに発生する水素,メタン,一酸化炭素め各発生量と加熱温度の関係などを合わせて比較検討することにより,つぎめことが結論された。
(1)石炭粒子内に吸蔵されていた水素,メタン,一酸化炭素の大部分は約150℃以下の温度で発生する。(2)熱分解によるガスが発生し始める温度は,一酸化炭素,メタン,水素の順に高くなり,水素のそれは約200℃である。また,水素では熱分解ガスと吸蔵ガスの発生領域の境界がかなり明確である。(3)測定したそれぞれの発生ガスの速度は,活性化エネルギーに分布があると仮定して導出した一次速度式によって表わすことができる。

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