日本化学会誌(化学と工業化学)
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ホスホリル基を含む高分子によるメタクリル酸メチルの重合1
大内 辰郎栄 雅敏山崎 哲也山下 治夫井本 稔
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1980 年 1980 巻 12 号 p. 1888-1893

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抄録

水溶液中,85℃で低分子量のポリ(ビニルホスホン酸)(PVP),ポリ[リン酸(3-ヒドロキシプロピル)ナトリウム](PPP-Na),あるいは高分子量の部分ボスホソ酸化したポリスチレンのニナトリウム塩(PStP-2Na)によるメタクリル酸メチル(MMA)の重合を行なった。重合活性を示すために,PPPNaは銅(II)イオンを必要とするが,PVPおよびPStP-2Naは銅(II)イオンを必要としないことがわかった。ホスホリル基を含むポリマーによるMMAの重合で銅(II)イオンの存在が必要であるかどうかは,ポリマー中のホスホリル基間の距離によって決まることがわかった。また分子量の大きい含ホスホリルポリマーを用いた場合には,水相中で疎水領域をつくり,そこにモノマーが取り込まれて重合が開始されるため,重合は容易に起こる。しかるに,分子量の小さい含ホスホリルポリマーを用いた場合には,疎水領域を形成せず,水中で重合が進行するため,重合は容易には起こらなかった。

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