日本化学会誌(化学と工業化学)
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小型実装置を使用した白金触媒による硫黄化合物の酸化脱臭
加部 利明加部 八恵子袖山 享
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1980 年 1980 巻 12 号 p. 1898-1902

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抄録

白金触触による低濃度での硫黄化合物(チオフェン,硫化ジエチル,硫化ジメチルおよび硫化水素)の酸化脱臭を行なうためにベンチスケールの脱臭装置を用い,3種の形状のPt-Al2O3触媒(粒状,ハニカム状,アルミニウム管状)の脱臭効果について比較検討した。
チオフェンの酸化反応速度はチオフェン濃度に対して100ppm以上ではほぼ0次であり,これより低濃度では正の濃度依存性が認められた。ハニカム触媒による硫化ジェチルの濃度依存性はチオフェンの場合と同様であるのに対して,硫化ジメチルの酸化反応速度は10~100PPmの範囲で1/2次であった。反応の見かけの活性化エネルギーは,触媒の種類によってやや差違が認められたが,硫化ジメチルおよび硫化水素ではチオフェンおよび硫化ジェチルの場合よりも数kcal/mol低かった。濃度10ppmにおける4種の硫黄化合物に射する活性序列はいずれの触媒でも200℃では硫化ジエチル>チオフェン≧ 硫化ジメチル≫硫化水素の順であった。以上の結果から,硫化水素および硫化ジメチルの酸化脱臭反応に対して白金触媒は200℃付近の比較的低温で除去率が低く,温度を多少上げても100%近い除去率を得ることはできないが,チナフェンおよび硫化ジエチルは比較的低温で容易に酸化脱臭できることがわかった。

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