日本化学会誌(化学と工業化学)
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コンドロイチン硫酸塩溶液の熱力学的性質第四級アンモニウム塩の水溶液から尿素水溶液への移行エンタルピ-
柘植 英哉米勢 政勝
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1982 年 1982 巻 10 号 p. 1583-1587

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抄録

親水性の糖骨格に疎水性の対イオンを有するコンドロイチン硫酸のテトラアルキルアンモニウム塩(R4NChS)を用い,その熱力学的性質を通じて,疎水性対イオンが高分子電解質溶液の物性にどのような影響を与えるかを調べた。コンドロイチソ硫酸のアンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウム塩の水から尿素水溶液への溶媒間移行エンタルピー(ΔtrH)が,双子型微小熱量計により温度298.15Kおよび310.15Kにおいて測定された。尿素濃度は0.5~5.Omo1・kg-1であった。
その結果,ΔtrH値は,アンモニウム塩で負の値(発熱)を示し,対イオンの炭素数が増加するにしたがって,減少し,テトラエチルアンモニウム塩で最小となり,それから増加し,テトラブチルデンモニウム塩では正の値(吸熱)となった。この結果を低分子電解質であるテトラアルキルアンモニウ薪プロミド塩と比較し,定量的にも,ΔtrH値がかなり一致していることが明らかになった。さらに,R4NChS塩の性質はR4N+イオンに依存しており,ChS高分子イオンのΔtrH値は約9kJ・mol-1と見積られた。そして,ΔtrH値は主としてChS塩のまわりの水量の変化を反映していると解釈した。

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