日本化学会誌(化学と工業化学)
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アーモンド・グリコペプチダーゼを利用した糖タンパク質オリゴ糖鎖の簡易分析法
高橋 禮子西部 ひな
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1982 年 1982 巻 10 号 p. 1588-1594

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抄録

糖タンパク質のオリゴ糖鎖の分析法は,(1)オリゴ糖鎖を定量的にタンパク質から切り離す方法,(2)切り離したオリゴ糖鎖を相互に分離精製する方法,の二つに多くの問題点がある。著者は以下の方法を開発した。
(1)として,糖タンパク質の糖部とタンパク部との結合部位(GlcNAc-Asn間)を特異的に切断する酵素,アーモンド・グリコペプチダーゼを使用した。この酵素は糖タンパク質から糖鎖を丸ごと切り離ずことのできる唯一のもので,1977年に初めて著者の発見した酵素である。(2)として,得られたオリゴ糖分画はペーパークロマトグラフィーで脱塩し,薄層クロマトグラフィーで同定した。オルシノ7レ醸酸確で肇色した糖を,標準物質と比較してオリゴ糖分子の大きさ,何種類あるか,それらの量比などの大要を知る。量比はデンシトメーターでより正確に測定できる。さらに試料の量が許せば薄層からかき取ったスポットを加水分解して高速液体クロマトグラフィーによりその単糖組成を知り,またメチル化分析などに進むこともできる。
この論文ではh分ig子h-のma一nn箇型所にただ1種の類糖の鎖のついるタカアミラーゼ分子内の4箇所にすべて同じcomplex型糖鎖のついているヒト・フィブリノーゲン,および分子内の糖のつく場所は1箇所なのにそこについている糖鎖はhigh-mannase型とhybrid型がそれぞれ数種類あるニワトリ卵白アルブミンの分析例を示した。またヒト麟帯動脈静脈,マトリヅクスの糖鎖のパタソの比較から,恥この方法の比較生化学的応用への可能性も述べた。

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