1982 年 1982 巻 10 号 p. 1667-1672
1969年,柴田らはラット腎糸球体基底膜から,腎炎誘発作用をもつ糖ペプチドを単離した。その後の構造解析から,この糖ペプチドはN-グリコシド型であるにもかかわらず,糖鎖にグルコサミンを含まないことがわかった。著者らは,このような新しい形の糖ペプチドのモデル化合物を得る目的で,糖部分を化学合成や天然物からの単離が容易なオリゴ糖,すなわち,ゲンチオビオース,イソマルト-ス,マンニノトリオースを用いてオリゴ糖-L-アスパラギン化合物の合成を行なった。これらはいずれも,原料糖の完全アセチル化体をアセトハロゲノ体へ変換し,アジドィオンによる置換,アジド基の還元とアスパラギン酸誘導体との縮合,脱保護という過程を経て得ることができた。
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