抄録
リン酸水素ニアンモニウムの加熱変化を熱重量分析,示差熱分析,示差走査熱量分析および高温X線回折によって調ぺた結果,159℃ 付近で3.21kJ/molの吸熱をともなって高温相に転移することが見いだされた。この高温相は,X線回折データがCoatesらの報告しているα-(NH4)2HPO4とはやや異なるのでα'-(NH4)2HPO4と称することとした。α'相は,X線回折データが既報のものと一致し,室温に冷却してもそのままではβ相にもどらなかった。水分が存在すると転移点が降下し,転移点はそれぞれ水分1%で143℃,水分3%で136℃ になった。水分3%を含む場合は136℃ から90℃付近に冷却するとα'相からもとのβ相にもどった。