1982 年 1982 巻 7 号 p. 1187-1192
チオベンズアミド,N,N-ジメチルチオベンズァミドおよびオクタンチオアミドを三硫化モリブデソ触媒とともに加圧水素化し,反応の経路や開裂の様相などについて比較検討した。チオベンズアミドの200℃ 以下およびオクタンチオアミドの240℃ 以下の反応では,炭素一窒素結合の水素化分解反応のほかに,脱硫化水素その他の反応も併起しやすい。これに対して,N,N-ジメチルチオベンズアミドの場合には水素化分解反応のみが容易に進行した。チオアミドの脱硫化水素反応ではニトリルを生成するが,チオベンズアミドの場合にはジフェニルチァジァゾールやトリフェニルトリァジンのような二量体化および三量体化した化合物の生成しやすいことが特徴である。一方,水素化分解反応では最終的に炭化水素を生球するが,中間生成物としてはいずれの楊倉にもチオールが得られ,対応するアミンはごくわずかに過ぎなかった。反応温度の面からみた炭素一窒素結合の水素化開裂されやすさはPhC(S)N(CH3)2>PhC(S)NH2>C7H15C(S)NH2の順序となり,脱硫化水素反応によるニトリルの生成しやすさとは反対の傾向にあった。
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