日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
硫化モリブデン触媒によるチオアミドの水素化分解
小沼 健治長谷川 博俊板橋 国夫
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 1982 巻 7 号 p. 1187-1192

詳細
抄録

チオベンズアミド,N,N-ジメチルチオベンズァミドおよびオクタンチオアミドを三硫化モリブデソ触媒とともに加圧水素化し,反応の経路や開裂の様相などについて比較検討した。チオベンズアミドの200℃ 以下およびオクタンチオアミドの240℃ 以下の反応では,炭素一窒素結合の水素化分解反応のほかに,脱硫化水素その他の反応も併起しやすい。これに対して,N,N-ジメチルチオベンズアミドの場合には水素化分解反応のみが容易に進行した。チオアミドの脱硫化水素反応ではニトリルを生成するが,チオベンズアミドの場合にはジフェニルチァジァゾールやトリフェニルトリァジンのような二量体化および三量体化した化合物の生成しやすいことが特徴である。一方,水素化分解反応では最終的に炭化水素を生球するが,中間生成物としてはいずれの楊倉にもチオールが得られ,対応するアミンはごくわずかに過ぎなかった。反応温度の面からみた炭素一窒素結合の水素化開裂されやすさはPhC(S)N(CH3)2>PhC(S)NH2>C7H15C(S)NH2の順序となり,脱硫化水素反応によるニトリルの生成しやすさとは反対の傾向にあった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top