日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
aci-形脂肪族第一級および第二級ニトロ化合物の一電子移動反応
福永 公寿木村 允
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 1982 巻 9 号 p. 1499-1506

詳細
抄録

種々の脂肪族第一級および第二級ニトロ化合物〔1〕から調製した〔1〕のaci-形のアルカリ金属塩(aci〔1〕)と硝酸銀,ペルオキソニ硫酸カリウム,および対応するα-ブロモニトロアルカン〔2〕との反応をジメチルスルホキシドを溶媒として行なった。aci 〔1〕とそれぞれの試薬との反応生成物は同じ化合物であることがわかった。〔1〕のうちニトロエタンおよび1-ニトロ-2-フェニルエタンは反応しなかった。アリールニトロメタンでは,アリール基がフェニル誘導体では3,4,5-トリス(置換フェニル)-4,5-ジヒドロオキサゾールN-オキシド誘導体〔4〕が生成し,1-ナフチル誘導体では〔4〕とtrans-1,2-ジ(1-ナフチル)エチレン誘導体〔5〕とをほぼ1:1の生成比で生成した。アリール基が9-アントリル誘導体および9-フェナントリル誘導体ではそれぞれ,9,10-アントラキノン,9,10-フェナントレンキノンを生成した。その他の〔1〕はすべてvic-ジニトロ化合物〔3〕を生成した。これらの結果は,aci〔1〕から反応試剤への一電子移動反応によって生じたラジカルアニオン[aci〔1〕]がアルキル基の種類によって異なる後続反応を受けるためと解釈し,それらの反応機構についての検討を行なった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top