日本化学会誌(化学と工業化学)
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電流滴定法による亜セレン酸とセレン酸の定量
佐竹 弘池田 早苗
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1984 年 1984 巻 9 号 p. 1393-1397

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抄録
セレン酸および亜セレン酸-セレン酸混合物中の両成分を簡単かつ精度よく電流滴定する方法を開発した。
回転白金電極 (+0.75V vs. SCE) を指示電極飽和カロメル電極 (SCE) を対極として, 滴定剤であるチオ硫酸イオンの酸花電流を測定する電流滴定法により, 2~47mg のセレン酸ナトリウムを 0.1% 以内の相対誤差と変動係数で定量することができた。また, 亜セレン酸に対してセレン酸が O.5 倍モルから 40 倍モル含む混合試料溶液中の両成分が 0.3% 以内の相対誤差と変動係数で精度よく示差定量できることがわかった。セレン酸を定量する場合には, 6mol・dm-3 塩酸溶液で 6~7 分間煮沸還元して定量的に亜セレン酸としたのち, 4mol・dm-3 塩酸溶液として滴定するのが適当であった。亜セレン駿とセレン酸混合物を示差定量する場合には, 4mol・dm-3 塩酸溶液を用いてセレン酸中の亜セレン酸を定量し, 別のアリコートを用いてセレン酸と同様な方法によりセレン酸と亜セレン酸の合計量を求めた。これら2回の滴定値の差からセレン酸を定量した。本法は金属イオンの影響が少なく, セレン酸を簡単に定量できるうえに, 幅広い混合比の亜セレン酸とセレン酸混合物中の両成分を示差定量できるという特徴をもっている。
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