日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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主題 II:直腸脱の診断と治療
II.直腸脱の診断と骨盤底機能評価法
神山 剛一荒木 靖三野明 俊裕鍋山 健太郎岩谷 泰江小篠 洋之的野 敬子岩本 一亜新垣 淳也佐藤 郷子高野 正博
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2012 年 65 巻 10 号 p. 833-839

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抄録
直腸脱の診断は肛門から脱出した同心円状のひだを確認できれば難渋することはない.鑑別で問題となる粘膜脱は放射状の溝を持つことで判別可能である.本疾患の病因については種々のものが指摘されているがまだ統一した見解は得られていない.一方画像診断の革新がもたらした骨盤内の動態観察により,直腸脱に直腸瘤,小腸瘤,膀胱瘤といった骨盤臓器脱が合併することを指摘する報告が多い.さらに婦人科や泌尿器科など複数科の連携が進み,これらは骨盤底の共通の病態として理解されつつある.一方で骨盤底疾患は排尿障害や排便障害だけでなく,性機能障害の原因にもなり,患者のQOLを大きく左右する.したがって直腸脱患者に対しては,単に脱出の存在や程度を把握するだけでなく,関連する臓器脱出や排泄・性機能障害に対しても評価することが重要と考えられる.本稿では直腸脱に関連する骨盤底機能の評価法について解説する.
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© 2012 日本大腸肛門病学会

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