日本化学会誌(化学と工業化学)
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有機金属錯体のマウス白血病細胞 L-1210 に対する細胞障害性とその特長
山本 芳久沼崎 洋三村上 増雄
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1985 年 1985 巻 3 号 p. 625-628

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抄録

周期表を対象とした Cu,Ag,Be,Mg,Zn,Cd,Hg,Al,Ga,In,Ge,Sn,Pb とイリド((C6H5)3P=CH2,メチレントリフェニルポスホラン)から合成された 19 種類の有機金属化合物のマウス白血病細胞 L-1210 に対する細胞障害性の研究を目的とした。マウス白血病細胞 L-1210 に対する細胞障害性の測定方法は 10% の新生仔ウシ血清を含む RPMI-1640 培地に浮遊させた L-1210 細胞液を各ウェルに分注し,さらに3時間後,リン酸緩衝食塩水におのおのの濃度に溶解した試料を加え,37℃, 72 時間,二酸化炭素培養器で培養した。培養後,細胞をトリパンブルーで染色し,ヘモサイトメーターで生細胞を計測した。IC50*** は細胞増殖阻害率と濃度をグラフ上にプロットすることにより求めた。結果は下記のように,マウス白血病細胞 L-1210 に対する細胞障害性の強さは,つぎの順であつた。
Pb,Sn,Au > In,Al,Ga > Cd,Hg > Be,Zn > Mg > Ge,Cu
鉛錯体,スズ錯体,金錯体が L-1210 に対し強い細胞障害性を示した。

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