日本化学会誌(化学と工業化学)
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含水酸化チタン(IV)へのヒ酸および類似オキソ酸の吸着性
竹中 安夫中谷 宗嗣杉森 修一内田 広幸
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1985 年 1985 巻 9 号 p. 1650-1655

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抄録

含水酸化チタン(IV)によるヒ酸イオン(AsO43-)の吸着特性を調べた。吸着はFreundlich型であった。吸着量はpHに依存し,低pH域ほど大きいが,通常の両性無機イオン交換体によるC1-あるいはNa+の吸着とは異なり,等吸着点(pH5付近)においてもいちじるしく多大であった。吸着量は合水酸化チタン(IV)の結晶形に依存し,pH7ではアナタース形が無定形よりもはるかに多大であったが,pH2では無定形がやや大きかった。Cl-の10倍量共存(Cl/As=10/1,重量比)は,pH2ではAsO43-の吸着速度を非共存の場合にくらべてわずかに低下させたが,pH7では約30倍向上させ,触媒的効果が認められた。吸着反応はそのエンタルピー変化(ΔH)が+1.62kcal・mol-1であることから吸熱反応であり,通常のイオン交換吸着(発熱反応)とは逆であった。ClO4-,SO42-,PO43-およびSiO44-の吸着量がpHに依存する関係を調べ,AsO43-の吸着とあわせて考察し,これらのオキソ酸イオンの含水酸化チタン(IV)による吸着には,イオン交換的と非イオン交換的の2種の機構が複合していると推測した。

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