日本化学会誌(化学と工業化学)
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硫酸処理PAN-ACF上の一酸化窒素-アンモニア反応
持田 勲溝尻 尚子藤津 博小松原 克展井田 四朗
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1985 年 1985 巻 9 号 p. 1676-1681

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抄録

ポリアクリルニトリルから製造した活性炭素繊維(PAN-ACF)上での一酸化窒素のアンモニアによる還元反応を速度論,吸着,表面含酸素官能基のESCA,昇温分解法を用いて研究した。窒素が多く残存しているPAN-ACF-AおよびB型は温度400℃の硫酸処理により顕著に活性が増大したのに対して,高表面積であるが,窒素残存量の少ないPAN-ACF-C型は前二者と比較して活性が低かった。不可逆吸着したアンモニアの一酸化窒素に対する反応性は対応する一酸化窒素-アンモニア反応速度にはぼ等しかった。C型のPAN-ACFを除いて,還元の反応速度は,不可逆吸着アンモニア量と一酸化窒素の炭素による還元反応速度と相関することから,アンモニア,一酸化窒素両分子の炭素表面での活性化の程度が,上記不可逆吸着アンモニア量,一酸化窒素の炭素による還元反応速度によって,ほぼ表示できる。
ESCAおよび昇温分解法の結果を活性と比較して,活性点は,表面上の含酸素官能基が考えられ,アンモニアの酸点への吸着,一酸化窒素の酸化点への吸着,活性化によって,触媒反応が進行するのであろう。

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