日本化学会誌(化学と工業化学)
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β-FeO(OH)の熱分解におよぼす付着含水ケイ酸の効果
鈴木 新太郎作本 博則表 雄一峰岸 順二
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1985 年 1985 巻 9 号 p. 1689-1699

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抄録

含水二酸化ケイ素(この論文ではSiO2と表示する)を付着させたβ-FeO(OH)は,空気中,常圧下の熱分解において,α-Fe2O3転移への中間相と考えられる非晶質的酸化鉄を生成する。その生成温度範囲は,SiO2付着量に依存し,付着量が多くなるほど,低温側および高温側ともに広がり,SiO2付着による脱水分解促進と結晶転移抑制が認められる。この中間相は,形態的にはほぼ針状性を保持し,多孔体であり,細孔容積はSiO2付着量が多くなるほど大となり,それに起因すると推定される比表面む積のかなりの増大を示す。細孔分布曲線のピークを示す細孔半径は15から20Å程度であった。250℃焼成試料については,SiO2付着量の相違による差異は少なく,焼成温度が上昇すると結晶成長が進み,かつSiO2付着量の影響が顕著となる。さらに,塩素をCl/Feで2から8%程度含有しているという特徴を有している。磁気特性として内部磁場(293K測定)が,300℃焼成処理で得られるもので,付着量1.5と6.1wt%の場合で420,404kG程度とSiO2付着量が多くなると小さくなりSiO2後者の場合でNeel温度が約473Kであった。さらに焼成温度による変化として,6.1wt%の場合で,焼成温度250と5OO℃で398,430kGとなり,温度の高い場合ほど大となった。これらの変化は,多孔体粒子内部の微細粒子の大きさが変化しているためと考えられる。

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