日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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多配置SCF法によるベンゼンの最低励起一重項状態の構造と分子振動の解析
長村 吉洋
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1986 年 1986 巻 11 号 p. 1384-1387

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抄録

abinitioMCSCF法を用いてベンゼンの基底状態(1A1g)および最低励起一重項状態(1B2u)の構造を求め,解析的エネルギー勾配法によって振動解析を行なった。基底関数はSTO-3Gを用い,MCSCFにおいては6個のπ軌道におけるすべての可能な電子配置を考慮した。1B2u状態におけるベンゼンのゆゆ構造ばD6h対称性を保持し,C-CおよびC-H結合距離はそれぞれ1。4498Å および1.0818Å が得られた。 基底状態から1A1g状態へのO-O遷移エネルギーは4.727eVと計算された。MCSCF法によって計算した基準振動数の順序は実験値とよく対応し,一部不明確な実験値に対する示唆を与えるであろう。

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