日本化学会誌(化学と工業化学)
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アルカリ水溶液中における複合酸化物を混合したガス拡散電極上での酸素還元
松木 健三鎌田 仁
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1986 年 1986 巻 2 号 p. 107-112

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抄録

アルカリ水溶液中での酸素カソード還元の電極触媒として, ペロブスカイト型構造を有するLa0.6Sr0.4MnO3 と CaMnO3-xをとりあげ, カーボンを主体としたポリ (テトラフルオロエチレン) (PTFE) 結着型ガス拡散電極に混合して用いたときの電極触媒特性を, 9mol・dm-3NaOH,85℃中におけるカレントインターラプター法による分極測定と, X線回折, SEMおよびXPSなどによる電極のキャラクタリゼーションにより調べた。
これらの複合酸化物はアルカリ水溶液中において, 化学的および電気化学的にも安定であり, ガス拡散電極の酸素還元に対する活性を高めるのに有効であった。La0.6Sr0.4MnO3と比較して, CaMnO3-xの活性の持続性は非常に大であった。
用いるカーボンの種類によって, 複合酸化物の酸素還元に対する最適配合比が異なるが, この最適混合比において, カーボン粉とガス拡散電極との比表面積の差から求めたカーボンの比表面積損は, カーボンの種類に関係なく約50%であった。
分極前後における電極のX線回折やXPS測定から, 酸素カソード還元のさいに, CaMnO3-xやLa0.6Sr0.4MnO3の電解液と接する表面の格子酸素が, カソード還元を受けて酸素欠損を生ずることが考えられた。

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