日本化学会誌(化学と工業化学)
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高濃度水溶液中におけるモリブドリン酸とリン酸の反応機構
青島 淳山口 辰男山松 節男
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1986 年 1986 巻 2 号 p. 120-125

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抄録

高濃度水溶液中で, 12-モリブドリン酸 (PMo12) とリン酸は反応し, 9-モリブドリン酸 (PMo9) を生成し, これが二量化して18-モリブドニリン酸 (P2Mo18) になることが明らかにされてきた。高濃度水溶液中のこれら溶存種の定量法として, エテラート法を開発した。あわせて31P-NMRを,この種溶液の反応速度の解析手段として用い, 各反応の平衡定数, 速度式を求めた。
PMo12とリン酸で, P2Mo18 を生成する反応は, 可逆的であり, その平衡定数は, 8.1×102(mol/dm3)-2(70℃), 反応熱は248kJ (発熱) であった。初期反応速度は, PMo12濃度に3/2次, リン酸濃度に1/2次に比例した。見かけの活性化エネルギーは27kJ/molであった。この結果はPMo12がPMo9になる過程は速やかであり, PMo9の二量化の過程が律速段階になることを反応速度論的に証明したものである。さらにPMo9の二量化反応が,初期にはPMo9の二次に比例することを実証し, 上記機構を確認した。この過程での平衡定数, 反応熱も同様の方法で測定した。

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