日本化学会誌(化学と工業化学)
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[N'-(ジチオカルボキシ) ヒドラジノカルボニルメチル] セファデックスを用いるウラニルイオンの捕集
林 滋彦中田 隆二岡村 敏子古河 裕美小辻 奎也
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1986 年 1986 巻 2 号 p. 146-151

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抄録

[N'-(ジチオカルボキシ)ヒドラジノカルボニルメチル] セファデックス (DH-Sephadex) のウラニルイオンに対する捕集挙動と捕集後の同イオンの回収について検討した。1×10-5mol・l-1ウラニルィオン溶液50mlを0.1gのDH-Sephadexと室温で30分間かきまぜると, 4.6~6.7のpH範囲でウラニルイオンは定量的に捕集される。硝酸ナトリウム, 塩化ナトリウムまたは臭化ナトリウムが1×10-1mol・l-1の濃度で共存してもウラニルィオンの捕集は定量的であるが, クエン酸ナトリウムやEDTAの共存は同イオンの捕集に強く影響する。5×10-7および5×10-8mol・l-1試料溶液1000mZを0.39のDH-Sephadexと室温で60分間かきまぜてウラニルィオンを捕集し, 母液を濾過管を通して吸引除去したのち, 濃硝酸にDH-Sephadexを加熱溶解してウラニルィオンを定量的に回収できる。また, 0.3gのDH-Sephadexを詰めたカラム中に, 1×10-6および1×10-7mol・l-1試料溶液500mlを流して捕集し, ついで濃硝酸または60%過塩素酸により溶離するか, あるいはカラム中でDH-Sephadexを濃硝酸に加熱溶解してウラニルイオンを定量的に回収できる。しかし, カラム法では試料溶液の流速をきわめて低くたもたねばならないため,バッチ法による捕集の方が勝っている。

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