日本化学会誌(化学と工業化学)
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陰イオン捕捉能を有する大環状ポリアミン化合物の結石溶解への応用
倉本 康弘木村 栄一
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 288-292

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抄録

大環状ポリアミンは,金属イオン捕捉能およびその金属錯体による種々の機能を有する。著者らは,大環状ポリアミン化合物を,クエン酸暖衝液中,等速電気泳動で分析したところ,予想とは反対の(+)極へ移動することを発見した。この異常挙動は,まず大環状ポリアミンがその環内に中性から酸性領域下,H+を取り組み,全体として(+)に荷電する。これがクエン酸と1:1の錯体を形成し,見かけ上,(一)に荷電して(+)極へ動いたものと思われる。また,この(+)に荷電した大環状ポリアミンは,クエン酸をはじめリン酸,カテコールなどの多価陰イオンを1:1で捕捉することを見いだした。この陰イオンキレート効果を,難溶性アルカリ土類金属塩の可溶化に応用した。さらに難溶性塩のリン酸カルシウム,シュウ酸カルシウムを主成分とする尿路結石溶解作用に応用した。

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