1987 年 1987 巻 3 号 p. 423-429
水面展開法により厚さ数10nmの高分子/液晶/アゾ置換クラウンエーテル三元複合薄膜を調製した。複合薄膜中の液晶と高分子の凝集構造を透過型電子顕微鏡観察により検討した。膜構造は展開溶媒種と展開溶液中の溶質濃度に顕著に依存することが明らかとなった。複合薄膜中では液晶が薄膜内を貫通する連続相ドメインを形成しており,その液晶相中にアゾ置換クラウンエーテルが良好に分散することが熱的挙動から明らかとなった。また,液晶中でアゾ置換クラウンエーテルが可逆的に光異性化することを紫外吸収スペクトル測定から確認した。この複合薄膜を数10枚積層することにより厚さ1~2μm程度の自己支持性の膜を調製し,K+透過の光応答性を検討した。その結果,光によるK+の促進輸送と光とpH勾配による能動輸送が確認された。さらに,得られた結果に基づき,輸送機構を考察した。
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