1987 年 1987 巻 3 号 p. 484-488
高分子イオン交換体Nafionを接合した半導体(n-SnO2)のイオンセンサーとしての性質を調べた。このセンサーは,アノードパイアス下で形成された空乏層の厚みを溶液組成によって変化させることで半導体の表面コンダクタンスを変化させるものである。Nafion中の交換性陽イオンをFe3+にイオン交換した電極のフラットバンド電位は,溶液中のFe3+イオン濃度によって20mV/decadeで変化したきヒが,溶液のpHには依存しなかった。この結果は,半導体を一定電位にたもった場合でも表面電位は溶液組成によって変わり,したがって空乏層の厚みが変化することを示している。一定電位下で測定した電極のコンダクタンスは溶液中のFe3+濃度によって変化し,イオンセンサーとして機能することがわかった。このさい,電極電位を小さくすると感度が上がったが,0.4V(対銀/塩化銀電極)前後からFe3+イオンの還元にともなう電流が半導体から溶液に流れでる現象が観測された。この電流もセンサー信号として扱えることがわかった
この記事は最新の被引用情報を取得できません。