日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
キャリヤー含浸ナイロン薄膜を用いる上り坂輸送膜センサー
宇都 正幸菅原 正雄梅澤 喜夫
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 489-494

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抄録

キャリヤー含浸ナイロン膜を用いた上り坂輸送膜センサーを試作した。ナイロン膜をいわゆる界面重合法により下地電極上に直接重合成膜した。下地電極とナイロン膜の間の小さな隙間(40μl以下)に適当な溶液を満たし,上り坂輸送膜センサーの受容溶液とした。ナイロン膜には有機溶媒に溶かした適切なキャリヤーを含浸した。典型例として,ナイロン膜にメチルトリオクチルアンモニウム=クロリドを含浸し,図2に示すようなカドミウム(II)上り坂輸送膜センサーを作成した。本センサーは,カドミウムイオンの見かけの濃度を試料溶液の数十倍にそれ自身で高めることができた。この場合,重合後にナイロン膜と下地電極の間の閉鎖空間に残った溶液に溶けているモノマー(1,6-ヘキサンジアミン)をカドミウムイオンをナイロン液膜の内部溶液側へ逆抽出する配位子として使用できた。ナイロン膜を使用するアプローチの利点は内部受容溶液を非常に小さくすることができるのでセンサーの増感効果を増大させる。また,ナイロン膜をできうるかぎり薄くして応答晴間を短くすることが望める。

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