日本化学会誌(化学と工業化学)
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酵素センサーによるデキストラナーゼの活性測定
宮内 光平沢村 邦夫民谷 栄一軽部 征夫
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 512-517

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抄録

デキストラナーゼは,虫歯予防用成分として歯みがき剤に添加されている。この酵素の活性は,従来は生成する還元糖を定量する方法で測定されていたが,前処理などの煩雑な操作が必要であった。そこで著者らは,グルコシダーゼとグルコースオキシダーゼおよび酸素電極を組み合わせることにより酵素センサーを製作し,短時間に精度よくデキストラナーゼの活性を測定する方法について検討した。まず,本酵素センサーの至適pH,至適温度について測定したところ,pH5.9,35℃ が最適であった。1%デキストラン溶液に酵素センサーを挿入し,各種濃度のデキストラナーゼ溶液を添加したところ,電流値の減少がみられた。そこでこの電流変化速度を指標とし,デキストラナーゼ活性と電流値の関係をプロットすると20~300U/mlの範囲で直線関係が認められた。さらにデキストラナーゼ標準溶液(130U/ml)を用いて9回くり返して活牲を測定した結果, 変動係数は1.88%と再現性も良好であった。また本酵素センサーは製作してから約1カ月間にわたり安定な応答値を示した。さらにデキストラナーゼ配合製剤に本センサーを適用したところ,従来法で測定した結果との相関係数は0,99以上で,よく一致し,測定時間は1/3以下に短縮することができた。

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