日本化学会誌(化学と工業化学)
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アゾベンゼン発色団を含む両親媒性化合物C6AzoC5N+Br-の単結晶中でのJ会合形態
渡辺 均奥山 健二小沢 裕平林 潔下村 政嗣国武 豊喜安岡 則武
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1987 年 1987 巻 3 号 p. 550-555

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抄録

一本鎖型両親媒性化合物であるアゾペンゼン構造を含むアンモニウム塩(C6AzoC5N+B-),C27H42.N303Brの結晶構造をX線回掛法により決定した。結晶は三斜晶形の空間群P1に属し,Z=2,a=2.7446(9),b=0.8592(1),c=0.6112(1)nm,α=106.91(2),β=87.05(2),γ=93.18(4)° である。構造は直接法により解かれ,対角近似の最小二乗法により精密化され,3535個の反射(sinθ/λ<0.56)に対してR-値は0.060となった。ほかのアゾベンゼン誘導体と異なり,C6AzoC5N+Br-分子のアゾベンゼン部分は非常によい平面性をもち,ベンゼン環とアゾ基部分の間りねじれ角は2°以内であった。さらに,スペーサーと端末部のアルキル鎖のジグザク面はアゾベンゼン平面と0.1°6.3° それぞれずれているだけであり,分子全体ば長くて薄い板状である。結晶構造はα-軸方向に規則的に積重なった二分子膜からできており,その中でアゾベンゼン発色団は隣接の分子とJ-会合(head-to-tail)している。C6AzoC5N+Br-の詳細な分子,結晶構造は前に解析した同族体であるC12AzoC5N+Br-の構造と非常に類似している。

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