日本化学会誌(化学と工業化学)
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メタン-空気同軸拡散火炎中における燃焼反応の機構
阪口 恵藏福谷 征史郎神野 博
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1988 年 1988 巻 12 号 p. 2037-2044

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抄録

メタン-空気同軸拡散火炎の各部の温度および安定化学種の濃度を測定し, その結果を基にして, 25種の化学種の間に82組の素反応を仮定した詳細な化学反応モデルを用いて計算機シミュレーションを行ない, その燃焼反応機講を解析した。
火炎基部では, 燃料と空気とが巻き込みによってすみやかに混合し予混合燃焼が生じている。この領域でメタンは CH4→CH3→CH30→HCHO→CHO→CO→CO2 と酸化される。これらの反応は速度が大きく,火炎の温度もすみやかに 1140K にまで上昇し, ここで生成した活性化学種と熱エネルギーとが火炎をノズル口に保持しているものと考えられる。
輝炎領域では, 90%以上の燃料は CH4→CH3→C2H4→C2H3→C2H2 と熱分解し, 一旦アセチレンを経由してそののち酸化される。火炎基部において巻き込まれた酸素は, OH ラジカルとなってこの領域でメタンの脱水素反応に消費される。酸素の量を実測値から変化させて化学反応を計算すると, メタンの消費反応の速度が大きな影響を受けるので, 火炎の内部に巻き込まれた空気がメタンの熱分解反応を促進すると考えられる。

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