M
n+ イオン交換体 (使用量: Wg) による外部溶液 (液量: Lcm
3) からの Cs
+のイオン交換吸着を例にとり, Cs
+の分希係数 Kd におよぼすバッチファクター, β(=L/W) (cm
3/g) と Cs
+吸着量, Q(meq/g) の影響を示す理論式を導き, 実験結果と比較した。
(∂KCs+Mn+β/∂)
Q=0(KCs+Mn+:選択係数) と仮定すると, Kd と β の間には一定の Q のもとでつぎの関係がある。まず, 多量の M
n+ 含有溶液からの吸着の場合には Kd は β に依存しないが, Cs
+ 単独溶液からの吸着の場合には, Kd は n√β に比例する。また, 共存イオンとして M
n+ 以外の1価の陽イオンを多量に含むときには, Kd は一般に β に依存し, n≦2 の場合には β に対して増加関数となるが, 条件によっては β に対して近似的に一定となる。これらの Kd-β 関係は, イオン交換系についてその理想性とは無関係に成立し, 実験結果とも矛盾しないことがわかった。
一方, 一定の β のもとでは Kd は Q に対して減少関数であることが dKCs+Ms+/dQ≦0 の条件を満たす通常のイオン交換体 (n≦2) について導かれ, Zn
2Fe(CN)
6(ZFC) を除いて実験結果と一致した。ZFC は, Kd が Q の増大とともに上昇する特異な性質があり, 両者を同時に高く設定できることがわかったので, 高濃度NaNO
3溶液からの Cs 吸着剤としてとくにバッチ処理に適していると考えられる。
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