日本化学会誌(化学と工業化学)
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チイラン類とイソチオシアン酸エステルとの反応
田口 洋一渋谷 勲須原 康夫
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1989 年 1989 巻 1 号 p. 63-67

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抄録

DMF溶媒中でのチイランとイソチオシアン酸メチルとの反応は生成物として 1, 3-ジチオラン-2-イミン体 [1] および 1,3 -チアジアジン-2-チオン体 [2] を与えた。触媒として第三級アミンを加えると [1] の生成比が高くなり, 塩化リチウムなどの塩を加えたり, 反応温度を高くしたりすると [2] の生成比が高くなった。チイランとイソチオシアン酸フェニルとの反応では [1] が高し選択性な示すが, 触媒として塩化リチウムを用い, 120℃で反応させると [2] も12%の収率で生成した。メチルチイランなどの置換チイランとイソチオシアン酸メチルとの反応では 1,3-ジチオラン体 [7] および 1,3-チアジン体 [8] のほかに 1,3-ジチオラン-2-チオン体 [9] も得られた。[8] としては置換基の位置により2種の異性体が考えられるが, 13C-NMR スペクトルによりその構造が 5-置換体であると決定した。反応の機構として, まず [7] が生成し, つぎに [7] とチイランが結合して中間体 [10] をつくり, この [10] から [8] および [9] が生成する機構を推定した。塩化リチウムなどの触媒は [10] の生成速度に影響を与えるために [7] と [8] の生成比が変化するものと考えられる。

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