日本臨床外科医学会雑誌
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回腸線維腫の2例
中川 国利桃野 哲
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キーワード: 回腸線維腫, 小腸腫瘍
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2490-2493

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抄録

他疾患の手術時に偶然発見された,回腸線維腫の2例を経験したので報告する.症例1は75歳の男性で, 18歳時に虫垂炎にて虫垂切除,引き続き腸閉塞症にて回腸・横行結腸吻合術を施行された. 5年前より腸閉塞症にて5回の入院加療を受け,腹痛・嘔吐を主訴として来院した.腸閉塞症として開腹したところ,癒着性腸閉塞を認めたため癒着剥離を行うと共に,回腸・横行結腸吻合を外す際に回腸を約15cm切除した.切除した回腸に20×15×15mm大の腫瘍を認め,組織学的には線維腫であった.症例2は72歳の女性で,検診にて便潜血反応陽性を指摘され,精査にて上行結腸に27×20×6mm大でIspの腫瘍を認めた.生検では腺腫であったが悪性も否定できないため,手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると回盲弁より8cm口側の回腸に径5mm大の腫瘍を認めたため,同部を含めて腹腔鏡補助下に右半結腸切除術を施行した.組織学的には回腸は線維腫で,結腸は腺腫であった.

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