日本化学会誌(化学と工業化学)
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ポリエチレンオキシド中の各種無機塩の溶解度とイオン伝導度に及ぼす連鎖分子量と塩種の効果
大野 弘幸王 瑛
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1588-1593

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抄録

分子量が200から6000のポリエチレンオキシド(PEO)に各種アルカリ金属塩を溶解させ,溶解度を決定した。リチウム塩の溶解度はPEO分子量に依存し,分子量増大にともない低下した。エーテル酸素に比較して,末端ヒドロキシル基はリチウム塩の溶解に大きく寄与していることを認めた。ナトリウム塩も類似の傾向を示したが,カリウム塩ではPEO分子量依存性がほとんど見られなかった。水分子と末端ヒドロキシル基の構造類似性から,各種塩のPEO中の溶解度と水中の溶解度には相関があると期待されたが,実際には認められなかった。LiclO4を含むPEOのイオン伝導度は,塩濃度が1.Omol/lで最大値を示した。これは系の粘度の急速な増大がイオン移動度の低下を招くためであることを確認した。PEO中の塩濃度が0.3mol/lの場合のイオン伝導度を比較すると,塩の格子エネルギーが低いほど,あるいはカチオン半径が大きいほど,高いイオン伝導度を示すことを認めた。

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