日本化学会誌(化学と工業化学)
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1-オクタデカノール単分子膜の表面ずり粘性の精密測定と膜流動の運動エネルギーの効果
加藤 貞二荒井 政年
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1594-1597

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抄録

マイクロコンピューターによりLangmuir水槽内の下層水表面温度と表面圧を精密制御する,キャナル法を用いた単分子膜の表面ずり粘性測定装置を開発した。この装置により,20℃ の蒸留水上の1-オクデカノール単分子膜の表面ずり粘性を,幅と長さの異なる多数のキャナルを用いて測定した。液体凝縮膜の状態における1-オクタデカノール単分子膜は全体としてはニュートン性であったが,キャナルの幅が広く,長さが短くなるにつれて顕著に表面ずり粘性の値が上昇した。これは三次元の毛細管流動におけるずり粘性測定では研究されているが二次元では報告されたことのない,膜流動の運動エネルギー効果(三次元では運動エネルギー補正またはHagenbachの補正とよぼれる)のためである。高圧側10mN/m,低圧側5mN/mの条件における測定で,この単分子膜のこの温度における表面ずり粘性の平均値は,2.25±0.10μPa・s・mであった。

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