日本化学会誌(化学と工業化学)
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化学処理した天然ゼオライトにおける鉛(II)の吸着特性
南澤 宏明山中 宏新井 信正奥谷 忠雄
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1605-1611

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抄録

クリノプチロライト(Clinoptilolite)を主な構成鉱物とする福島県西会津町産天然ゼオライトに加熱処理や化学処理を加え,それらを用いてバッチ法によるPb(II)の吸着実験を行い,各処理にともなう吸着能の変化について検討した。さらに比表面積(S.S.A.),陽イオン交換容量(C.E.C.)などについても比較した。
その結果,本実験に用いた天然ゼオライトは加熱処理温度600℃ 以下では吸着能に大きな変化は見られなかったが,600℃ 以上では結晶構造がくずれはじめ,S.S.A. およびC.E.C.が減少するため吸着能はいちじるしく低下し,特に1000℃ ではほとんどPb(II)は吸着されなかった。HCI処理ではクリノプチロライト以外の構成物であるスメクタイト系粘土鉱物などの溶出によりS.S.A.は増大するが,同時にクリノプチロライト中のNa+,K+などの交換性陽イオンも溶出するため全体的に吸着能は低下した。NaOH処理,NaOH加熱処理では交換性陽イオンであるNa+が増加するため吸着能は増大した。特にNaOH加熱処理ではクリノプチロライトはヒドロキシソーダライトに変化し,未処理天然ゼオライトにくらべて2倍以上のC.E.C.および5倍以上のPb(II)の吸着量を示した。

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