日本化学会誌(化学と工業化学)
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ゾル-ゲル法によるアンチモン酸陽イオン交換膜の作製
小暮 誠佐藤 利夫田中 龍夫安島 聡鈴木 喬大矢 晴彦
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1618-1623

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抄録

金属アルコキシド溶液とアンチモン酸ゾルの混合溶液をゾル-ゲル法により多孔質アルミナ支持体にデイップコーテイングすることにより無機陽イオン交換膜を作製した。金属アルコキシド溶液の組成はSi(OC2H5)4: H2O: C2H5OH: HClであり,モル比は1:11:6.8:0.068である。これに同容量の2%アンチモン酸ゾルを混合した。
電子顕微鏡により膜の構造を観察した結果,1回の塗布により形成されるコーティング層の厚さは0.5~0.9μmであった。塗布回数が増えるにしたがいイオン交換容量,膜抵抗は増加した。しかし限界電流密度だけは低下する傾向を示した。たとえば10回デイップコーテイングした無機陽イオン交換膜のイオン交換容量は0.0061meq・cm-2,膜抵抗は186.2Ω ・cm2,限界電流密度はO.96A・dm-2,Na+輸率は0.70であった。無機イオン交換膜は沸騰水,80℃ の6M-硝酸,塩酸,常温の2M-水酸化ナトリウム,50%-アセトン水溶液および50%-エタノール水溶液中に24時間放置してもイオン交換容量などにほとんど変化がなかった。

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