日本化学会誌(化学と工業化学)
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加熱気化-金アマルガム-冷原子吸光法による超微量水銀の定量におけるヨウ化物の干渉の除去
坂元 隼雄冨安 卓滋米原 範伸
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1632-1637

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抄録

ヨウ化物を含む固体および液体試料中の超微量の水銀を迅速にかつ正確に定量する方法について加熱気化-金アマルガム捕集-冷原子吸光光度法を用い,基礎的な検討をした。
代表的な無機および有機水銀化合物を使用して,これらの化合物からの水銀の気化温度,水銀を加熱気化させる際に用いる添加剤の効果について調べた。
また,ヨウ化物を共存させた試料を加熱気化する際に用いる添加剤および洗浄溶液について詳細に検討した。
(1)無機および有機水銀化合物は600℃ 以上で熱分解し,水銀蒸気が発生する。
(2)ヨウ化物が多量に共存する試料は,本研究で使用した添加剤だけでは水銀に対するヨウ化物の妨害を除去することは困難である。
(3)ヨウ化物の妨害を除去するには,加熱気化した水銀蒸気を1M水酸化ナトリウム溶液または銅(II)イオン(15mg/l)と塩化スズ(II)(0.2%)を共存させた1M水酸化ナトリウム溶液で洗浄する。
以上の検討結果をもとに組み立てた本法は,ヨウ化物を含む固体および液体標準試料などに適用し,迅速かつ正確な超微量水銀の定量法であることがわかった。

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