日本化学会誌(化学と工業化学)
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炭化フッ素系化学結合型逆相HPLC用充填剤の合成とその分離特性
小中原 猛雄岡田 真一郎門出 孝志中山 伸之古橋 潤菅谷 淳一
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1991 年 1991 巻 12 号 p. 1638-1646

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抄録

1H,1H,2H,3H,3H-tridecafluoro(4,4-dimethyl-1-heptene)〔1〕へのシランHSiXY22a;X=Y=Cl,2b;X=Cl,Y=CH3,2c;X=Y=OCH3〕によるヒドロシリル化反応をヘキサクロロ白金(N)酸存在下,常圧または封管中で行い,相当する分岐状ポリフルオロアルキルシラン誘導体〔3a,b,c〕を71~90%収率で得た。またこれらのシランのうち〔3a,b〕を用い,薪しい型の炭化フッ素系化学結合型逆相HPLC用充填剤〔PFS-3a,PFS-3b〕を調製し,その拡散反射FT-IR,電子顕微鏡写真,窒素吸着等温線,炭素含有量などを測定し,その特性を評価した。また,これらの充填剤によるフルオロベンゼン,o-ジフルオロベンゼン,1,2,4-トリフルオロベンゼン,ペンタフルオロベンゼンおよびヘキサフルオロベンゼンの5種のフルオロベンゼン誘導体の混合物,ウラシルと5-フルオロウラシルの混合物,または1,3-および1,4-bis(2,2,2-trifluoro-1-hydroxy-1-trifluoromethylethyl)benzene(BHFB)の混合物の分離特性を市販ODSと比較した。その結果,ODSで分離不可能なフルオロペンゼンとo-ジフルオロベンゼンの混合物や1,3-および1,4-BHFBの混合物をいずれのPFSでも完全に分離でき,さらに,PFS-3bではウラシルと5-フルオロウラシルの混合物を分離することができた。また,かさ高い構造をもつBHFB混合物の分離には分岐構造をもつPFS-3bの方が直鎖構造のPFS-4よりも適していることがわかった。

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