日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
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金属担持活性炭素繊維による一酸化窒素還元
持田 勲孫 彦妃藤津 博木佐森 聖樹河野 静夫
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1991 年 1991 巻 6 号 p. 885-890

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抄録

ポリアクリロニトリル(PAN)系活性炭素繊維(ACF),ピッチ系活性炭素繊維,活性炭およびそれらに数種類の鉄塩あるいは銅壇を各5wt%を担持し,NO(500ppm)のN2への還元反応性を固定床流通式反応装置を用いて,温度200~350℃,接触時間1/50~1/2009・min/mlの条件で調べた。PAN-ACF単独でも反応初期にはNO還元が進行するが,すぐに失活し,3時間以後,約10%めNO転化率になった。銅塩あるいは鉄壇を担持すると,定常的にCO2を生成しながらNOがN2に還元される。反応ガスに酸素(5%)を添加すると,NOの転化率が82~100%へといちじるしく増大すると同時に,CO2生成も増大し,炭素の損耗が極めて大きくなる。酢酸銅を担持したPAN-ACFが最も少ない炭素損耗で,最も高いNO転化率を示し,250℃で24時間にわたる反応の間,100%の定常転化率を示した。反応ガスにさらに一酸化炭素あるいはプロピレンを130~600ppm添加すると,NO転化率はわずかに低下するが,炭素損耗をいちじるしく抑剃できた。銅塩はPAN-ACF上で酸化銅(1)に還元され,NOを活性化し,活性炭素繊維の炭素とNOとの反応を促進すると理解できる。酢酸銅はPAN-ACF上に最もよく分散して,高い反応性を与えたと考えられる。

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