日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
アセタール樹月旨の新製造技術の開発
祝迫 敏之正本 順三吉田 浩一香川 健二永原 肇
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 1992 巻 3 号 p. 246-254

詳細
抄録

アセタール樹脂の新製造技術を開発した。第一は,メチラールを酸化することにより高濃度のホルマリンを得る新技術を開発した。メタノールの酸化では,ホルムアルデヒド1molに対して水が1mol生成するが,メチラールの酸化では3molのホルムアルヒドに対て,水は1molである。従って,工業的にはメタノール酸化法では55%のホルマリンが得られるのに対してメチラール酸化では70%以上の高濃度のホルマリンを得ることができる。
第二は,この高濃度ホルマリンから高度に精製されたホルムアルデヒドを無水酢酸を分子量調節剤,もしくは末端封鎖剤としての作用の存在下で重合させると,重合時に末端が封鎖されたポリマーが得られる。
第三に,高濃度ホルマリンはトリオキサンの生成を促進する。高度精製トリオキサンをエチレンオキシドとの共重合に際して末端封鎖剤の存在下で重合すると,末端が封鎖された安定なポリマーが得られる。共重合の開始反応において,二つの新規化合物である1,3,5,7-テトラオキサシクロノナン(TOCN)と1,3,5,7,10-ペンタオキサシクロドデカソ(POCD)が単離され,新しい開始反応機構が提案された。
第四に,活性水素を有する潤滑性機能性ポリマーの存在下でホルムアルデヒドを重合させることにより,世界で最初のアセタールブロックコポリマーを工業化した。このアセタールブロヅクコポリマーは優れた潤滑性能を示した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top