1992 年 1992 巻 3 号 p. 255-260
今回,ラセミ体エステル基質の不斉加水分解を行い,L体とD体め加水分解速度定数をシンプレヅクス法によって解析した。その結果,活性トリペプチド触媒N-ベンジルオキシカルボニル-L-フェニルアラニル-L-ヒスチジル-L-ロイシン(Z-PheHisLeu)を用いたミセル系でのフェニルエステル基質の加水分解反応において,エナンチオマー基質を用いた場合と同程度の速度定数が得られ,ラセミ体を用いても高い不斉識励機能(LID)を発現できることが明確になった。しかし,長鎖ヒスチジン誘導体N-テトラデカノイル-L-ヒスチジン(Myr-His)触媒およびジペプチド触媒N-ベンジルオキシカルポニル+フェニルアラニル-L-ヒスチジン(Z-PheHis)を用いた場合ではエナソチオマー基質にくらべ,ラセミ体基質でLID選択性を低下させるケースが観測された。
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